国立感染症研究所は28日、直近1週間(8月13~19日)の風疹の患者数を発表した。関東を中心に患者が増えており、全国では前週より3人増の43人に上った。今年に入ってからの患者数は184人で、昨年1年間の約2倍に上る。
直近1週間で最も患者数が多かったのは千葉で20人、東京が8人、神奈川が3人、埼玉、愛知、福岡がそれぞれ2人と続いた。
風疹はウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどのしぶきでうつる。特に妊娠20週目までの妊婦が感染すると、赤ちゃんの耳や心臓、目に障害が出る恐れがある。1万6千人超の患者がでた2012~13年の流行では、45人の赤ちゃんに障害が出て、うち11人が亡くなった。一方、妊娠前に予防接種を2回受けていた人で、赤ちゃんに障害が出た人はいなかった。
13年に報告された20~60歳の女性の風疹患者のうち、感染経路が特定された約600例を調べると、職場での感染と、家族内での感染がそれぞれ約3割を占めた。家族では夫からの感染が約4割に上った。
ただ、妊婦はワクチンを打てない。また、30~50歳代の男性は、過去の予防接種方法の変更の影響で、接種率が低い。感染研は「妊娠前の女性はワクチンを2回接種してほしい。妊婦の家族や職場の同僚も、罹患(りかん)歴や予防接種歴がなければワクチン接種の検討してほしい」と呼びかけている。(水戸部六美)