「日本代表勝ったら自転車で東京から山口行ってやるよ」。6月のサッカーW杯コロンビア戦直前にインターネットで宣言した東京都の男子大学生が、約束通り出身地の山口市に向け旅立った。約1千キロの道のり。「こんなことになると思ってなかったけど、自分の脚だけで移動できるのは楽しみ」と話している。
都内の理系大学に通う「るい(14世)」さん(22)がツイッターに投稿したのは、コロンビア戦キックオフ直前の6月19日午後8時58分。「周りに日本が勝つと思っている人はおらず、友だちとも『勝ったら○○する』という冗談を大喜利のように言い合っていた」といい、軽い気持ちで自転車の旅を宣言した。
FW大迫勇也選手が劇的ゴールを決めると「大迫半端ねえええええ」と喜んだが、日本代表勝利が決まると「ちょっとやめてくださいでござる、うぎゃああああ」。投稿は急速に拡散され、1時間もしないうち「日本人が後悔している」という内容で台湾メディアに取り上げられたことも伝えられた。「思いのほか反響があり、やるしかないと思った」。その日のうち年内実行を約束した。
サッカーJ2レノファ山口FCのサポーター。鉄道も好きで、祖父母が住む山口に「青春18きっぷ」で普通列車の旅をしたことが何度もある。「自転車で旅したら面白いだろうなと考えたこともあったので、宣言を思いついたんだと思います」。自転車では計約140キロの日帰り旅行をしたこともあるが、愛車が壊れてから乗っていなかった。
投稿を見た人からアドバイスも受けながら旅支度を進め、6万円ほどかけて自転車を新調。車体や備え付けるバッグの色は、レノファのクラブカラーのオレンジにした。13日正午に東京駅を出発。ゲストハウスなどに泊まりながら、22日のレノファのホームゲーム前に山口市の維新みらいふスタジアムに着く計画だ。悪天候にも苦戦しながら、19日夕には兵庫県明石市までたどり着いた。
費用の一部はクラウドファンディングでも補った。返礼品を山口名物「ういろう」にするか、「瓦そば」にするか思案中だ。(寿柳聡)