米連邦最高裁判事に指名されたブレット・カバノー氏（５３）の性的暴行疑惑で、トランプ大統領は２１日、「なぜ誰も（事件のあったとされる）３６年前に、ＦＢＩ（連邦捜査局）に通報しなかったんだ？」とツイートし、被害を訴えた女性と野党民主党を批判した。ツイッターなどでは、性被害を届け出ることの難しさを訴える「＃ＷｈｙＩＤｉｄｎｔＲｅｐｏｒｔ」（なぜ私は訴えなかったのか）との投稿が相次ぎ、トランプ氏を非難する声が広がっている。

米最高裁判事候補の性的暴力疑惑、女性が公聴会で証言へ

性的暴行を訴えているのは、カリフォルニア州の大学教授クリスティーン・ブレイジー・フォード氏（５１）。高校生の時、泥酔したカバノー氏に押し倒され、服を脱がされそうになったという。カバノー氏は「言われるようなことは彼女にも誰にもやっていない」と否定している。

カバノー氏を擁護するトランプ氏は、この日、ツイッターに連続投稿。「暴行が言うほど悪質なら、彼女か両親がすぐに被害届を出したに違いない」「カバノー氏は、答えを知りたいとも思っていない急進左派の政治家に攻撃されている。彼らは（指名を）壊し、遅らせたいだけだ」などと投稿した。

これに対し、セクハラ被害を「＃ＭｅＴｏｏ（私も）」と告発する運動のきっかけとなった米俳優のアリッサ・ミラノ氏はツイッターで、１０代のころに性的暴行を受けたことを明らかにし、「警察に届け出なかったし、親に話すのにも３０年かかった」と投稿。「＃ＷｈｙＩＤｉｄｎｔＲｅｐｏｒｔ」に賛同する投稿は、この日夜までに２６万回に達している。

議会上院で承認のカギを握る共和党議員からも反発の声が上がる。コリンズ議員は「大統領のツイートにぞっとした。性的暴行の訴えは最も届け出がされない犯罪。大統領のツイートは不適切で間違っている」と話した。

上院司法委員会は、カバノー氏とフォード氏を招いた公聴会を来週予定している。（ワシントン＝香取啓介）