夜の街をさまよう女子中高生らとつながるための「夜間巡回バス」の開始式が6日、東京・新宿であった。都内の繁華街に駐車し、無料で食事を出したり相談にのったりして、必要な支援につなげていく。
国と東京都による「若年被害女性等支援モデル事業」の一環。少女向けシェルターの運営などをしている一般社団法人Colaboが新宿区と渋谷区と連携し、バスの駐車場所や電源の提供を受ける。
仁藤夢乃代表(28)は、少女らが性売買に取り込まれる前につながりたい、という。「虐待などで家に居場所がなかったり、修学旅行代や給食費を稼ごうとしたりして、女の子は夜の街に出てくる。相談しようと思いつかない子も多く、積極的に『どうしたの?』と声をかけるのは性売買にあっせんするスカウトたち。支援する側が待っているだけでは限界がある」
バスの名前は、「Tsubomi Cafe」。赤い羽根福祉基金の助成を受けて中古のマイクロバスを購入し、鮮やかなピンク色と花柄で彩った。仁藤さんが関わる女子中高生の意見を聞いてデザインしたという。バスの周囲にはテントを張り、椅子とテーブルも置く。車内では、歯ブラシや化粧品などがもらえる。フードバンクと連携し、食事や飲み物、衣類の提供もあり、スマートフォンの充電も可能だ。必要があれば病院に同行したり、宿泊先を確保したりする。
活動開始は17日から。毎月第1、第3水曜は新宿区役所前で午後5時45分~午後11時、第2、第4水曜は午後5~11時、渋谷区内でバスを駐車する。
仁藤さんらが昨年視察した韓国では、夜間巡回バスに一晩で約80人が訪れていた。夜遅い時間に訪れる少女の顔は、仁藤さんが関わる少女たちの表情と同じだったという。「日本でも絶対に必要だと思った。『あそこでご飯を食べよう』『服をもらえる、ラッキー』ぐらいの気持ちでいい。女の子たちが安心できる場にしたい」(山下知子)