国連世界食糧計画(WFP)の報道官は9日、ジュネーブの国連欧州本部で記者会見し、北朝鮮での事業が資金不足に陥り、予定した食糧支援ができないと明らかにした。「外交の進展で人々の苦しみがやわらぐのを待ってはいられない。ただちに資金が必要だ」と述べ、援助継続を訴えた。
WFPによると、北朝鮮では国民の4割に相当する1千万人以上が栄養不良となって食糧支援を必要とし、子どもの5人に1人が慢性的な栄養不良で発育を妨げられているという。WFPは、援助する北朝鮮国内の工場11カ所で栄養価を高めた穀物やビスケットを生産し、託児所や病院などを通じて子どもや母親に配布している。
北朝鮮での事業の援助国はカナダ、フランス、スウェーデン、スイス、ロシアなどだが、今年は必要額の37%しか集まらず、幼稚園への19万人分の食糧支援ができなくなったという。報道官は「(北朝鮮への援助に)懸念を持つ国もあるかもしれない」としている。現在の水準の援助を続けるには、今後5カ月で1520万ドル(約17億2千万円)の資金が必要だとし、拠出を呼びかけている。(ウィーン=吉武祐)