ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャの人々が迫害されている問題で、国連は17日、国連にも責任があるとする内部調査の報告書を公表した。国連内部での意見の衝突が、迫害の激化を避けられなかった理由の一つになった可能性があるという。
国連が自らの責任を認める趣旨の報告書を公表することは異例。ロヒンギャ問題をめぐっては、2017年8月に多くが難民になる前に迫害の兆候があったのに、国連が機能不全に陥っていたとする指摘があった。そのため、グテーレス事務総長が今年2月、国連での勤務経験がある元グアテマラ外相に独立した内部調査を依頼していた。
調査対象は、10~18年のミャンマーにおける国連の活動。報告書では、ニューヨークの国連本部と現場、また、国連職員やNGO職員の間で、ミャンマー政府側の態度を尊重するか、人権侵害の事態を重くみるか、戦略の相違があったと指摘した。
報告書によると、問題が大きくなるにつれ、戦略の食い違いが拡大していったといい、「組織の最高幹部クラスさえ共通の戦略を有していなかった」と批判。「国連組織内部で重大なミスが犯され、行動する機会が失われた。国連の組織的失敗だ」と結論づけた。
報告書では、国連本部と現場間の意思疎通を改善することなどを勧告した。グテーレス氏は17日、「国連組織のパフォーマンスを良くするため、勧告内容を実施していく」と広報官を通じてコメントを発表した。(ニューヨーク=藤原学思)
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