逃げてきた先で放火や投石… ベネズエラ避難民の苦悩——贯通日本资讯频道
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逃げてきた先で放火や投石… ベネズエラ避難民の苦悩

年率1千万%……。南米ベネズエラのインフレ率の予想は、もはや想像を絶するほどです。経済は崩壊状態。すでに200万人以上が周りの国に逃げましたが、今度はそこで地元住民とあつれきが起き、行き場を失う人が後を絶ちません。ベネズエラとブラジルの国境の町パカライマで、避難民たちの声に耳を傾けました。(パカライマ=岡田玄)


9月9日、子連れの女性たちが、国境の検問所の前で座り込んでいた。


「国連の避難所に入る順番を待っている。早く安心して暮らしたい」。1歳の娘を腕に抱き、ナディエスタ・ブランコさん(31)は言った。


ブランコさんが家族8人でベネズエラ北東部の町バルセロナを出たのは7月。「子どもに食べさせるものもミルクも薬もない。もう耐えられなかった」


ヒッチハイクで5日かけ、ようやくブラジルとの国境までたどりついた。ブラジル政府の入国管理事務所でパンと水をもらった。医者の診察もあった。


ブランコさんは「ここには食べ物も、娘のおむつもある。ベネズエラとは比較にならない、いい暮らし」と笑顔を見せた。


越境後、しばらくはブラジル側のキャンプにいたが、8月半ば以降はベネズエラ側の税関事務所の屋根の下で寝ているという。パカライマで、ベネズエラ人が襲撃される事件が相次いだからだ。


ベネズエラからの避難民に反発するブラジルの地元住民の抗議行動が一部暴徒化し、避難民のテントに火をつけたり、ベネズエラ人に石を投げつけたりする事態に発展。連邦政府は治安維持のために軍を派遣した。軍などによると、事件後、暴力から逃れるため、直後に1200人のベネズエラ人が帰国したという。


「私に人権はないのか?」


暴動のきっかけはブラジル人が襲われた強盗事件だった。8月17日夜、パカライマで雑貨店を営むライムンド・オリベイラさん(55)が自宅に戻ったところ、待ち伏せしていた4人組に襲われ、金を奪われたうえ、頭や顔、足を刃物で切られた。現地報道などによると、容疑者はいずれもベネズエラ人。オリベイラさんは「避難民の人権は守られ、私は襲われた。私に人権はないのか」と憤る。


オリベイラさんは、昔から国境を越えて仕入れにくるベネズエラ人を相手に仕事をしてきた。「こんな事件は初めてだ。経済危機と、そのせいで来る人々が原因だ」と話す。ロライマ州都ボアビスタでも9月6日夜、ブラジル人がベネズエラ人避難民に殺害される事件が発生。目撃した地元住民が集団で犯人のベネズエラ人を襲い、殺害した。


避難民の増加と、地元住民とのあつれきの高まりを受け、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、ボアビスタに避難所を開設。子どもや妊娠中の女性のいる家族から優先的に入所させているが、希望者が多く、UNHCR広報官は「新たな避難所を作っているが、追いついていない」と話す。


世界一の埋蔵量を誇る原油を背景に、ベネズエラのチャベス前政権は貧困層を手厚く支援してきた。


チャベス前政権は企業や農場を国有化し、食品などを安く統制したため、産業が廃れて物不足が深刻化。チャベス氏の死去に伴う2013年の大統領選で勝利したマドゥロ氏も路線を継承したが、原油価格下落などで経済が悪化。インフレが進んで経済が崩壊した。回復のめどは立っていない。


マドゥロ政権は今年8月、インフレに対応するため通貨切り下げ(デノミネーション)を実施し、ゼロを5桁削除したが、効果は上がっていない。国際通貨基金(IMF)は9日、19年中にもインフレ率が年率1千万%に達するとの予測を発表した。


国連によると、15年以降、人口の約6%に当たる約200万人のベネズエラ人が国外に逃れた。


脱出したベネズエラ人の9割がコロンビア、エクアドル、ペルー、ブラジルなどラテンアメリカの国々にいるとされ、地元住民とのあつれきや費用負担の問題が深刻になっている。


避難の実態は「フェイク」


マドゥロ政権は、この事態を受けて、「ベネズエラを傷つけようとする外国勢によるフェイクニュースだ」と主張。国外にいる人々に、「祖国帰還計画」として、ベネズエラ行きの航空券を用意している。


ただ、政権への国民の不信は根強い。政権側が、野党の有力者を事実上排除して大統領選を実施するなど独裁色を強めているからだ。


今月8日にはマドゥロ氏暗殺未遂事件への関与を疑われ、身柄を拘束された市議が、諜報(ちょうほう)機関の施設で死亡。政府は自殺と発表したが、当局に殺害された可能性も指摘されており、中南米諸国や国連などが調査を求めている。


話を聞いた避難民の多くはマドゥロ氏の退陣を求めていた。国営石油会社で25年勤めたという男性(50)は「21歳の息子は権利を求めてデモに行き、警察に撃たれて殺された」と涙ながらに訴えた。「食料や医薬品が不足し、多くの国民が亡くなっている。豊かな国なのに子どもが餓死している。これが21世紀の社会主義の実態だ」


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