政権と野党との対立で政情不安が続く南米ベネズエラのマドゥロ大統領は20日、首都カラカスで開いた集会で演説し、2021年1月に任期を迎える国会議員選挙の前倒しを提案した。国会は野党が多数を占めており、暫定大統領就任を宣言したグアイド氏が国会議長を務めている。
マドゥロ氏は20日の演説で、「野党に提案する。誰が勝利するのか見るために、国会議員選を前倒しして実施しよう」と呼びかけ、野党や欧米諸国が求める大統領選ではなく、国会議員選を通じて、民意を問う姿勢を示した。具体的な日程などは示さなかった。
1年前のこの日、マドゥロ氏は大統領選で再選されたが、野党勢力は、有力野党候補が排除された選挙は不正だとして、マドゥロ氏の退陣と選挙のやり直しを求めてきた。4月30日にはグアイド氏が軍に決起を呼びかけたが失敗。デモ参加者が減るなど、野党支持者の間にも無力感が広がっている。
政権側は、野党が求心力を失っている間に国会議員選を実施して勝利することで、政権の正統性が改めて認められたと主張する考えとみられる。(カラカス=岡田玄)