井山裕太名人(29)に張栩(ちょうう)九段(38)が挑戦している第43期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は16日朝、甲府市の「常磐ホテル」で再開し、2日目に入った。両者とも形勢に自信を持っているのか、手堅い手を選んで打ち進め、ヨセ勝負の様相となっている。
囲碁素人vs九段、まさかの勝敗 対局7分で知った喜び
第5局をタイムラインで 囲碁名人戦
午前9時、両者が1日目の98手目までを並べ直し、黒番の名人は封じ手の99手目を上辺に打ち、白の一団への攻めを継続した。この白をにらみながら、遠く下辺の黒模様の拡大に生かそうという全局的な作戦だ。
挑戦者は手堅く上辺の生きを確保。さらに名人の下辺大模様にも白114と踏み込んで足場を築いた。名人は強攻よりも緩攻の手段を選んで余得を図り、左辺に根拠を得た。名人が133手目を考慮中に昼食休憩に入った。持ち時間各8時間のうち、消費時間は名人6時間53分、挑戦者は3時間31分。
解説の蘇耀国(そようこく)九段は「どちらも手堅い手を選び、形勢判断の勝負になりそうです。挑戦者は下辺の黒陣を破りましたが、名人も各所で得をしている。私は黒有利と思います」と話した。(大出公二)