政府は16日の閣議で、不適切な接待を受けたとして辞職した文部科学省の戸谷(とだに)一夫前事務次官の後任に藤原誠官房長(61)を起用する人事を決定した。同じく接待問題で辞任した高橋道和(みちやす)前初等中等教育局長の後任は、永山賀久放送大学学園理事(57)に決まった。柴山昌彦文科相は同日の会見で、「新たな体制の元で信頼回復に向けた取り組みを速やかに進めたい」と述べた。
文科省では戸谷氏の前任の前川喜平氏も、組織的な天下りあっせんの発覚を受けて辞職しており、次官が2代続けて不祥事で辞めている。藤原氏も天下り問題で減給処分を受けており、信頼回復に向けた組織運営の手腕が問われる。柴山氏は「再チャレンジの機会を与えるかどうか、関係当局とも調整をしながら私の方で判断した」と語った。
文科省では7月以降、前科学技術・学術政策局長の佐野太被告が受託収賄罪で、前国際統括官の川端和明被告が収賄罪で逮捕・起訴された。戸谷氏と高橋氏はそれぞれ、贈賄側の業者から不適切な接待を受けていたとして減給処分を受け、辞職した。16日の人事では、国際統括官に大山真未官房審議官(54)の起用が決まった。
藤原氏は1982年、旧文部省に入省し、文科省では会計課長や初等中等教育局長などを歴任。昨年に異例となる、2回目の官房長に就任していた。(矢島大輔)