9日、米ケンタッキー州ハーラン郡。失職者に職業訓練などをするNGO事務所で、支援を受けている男性(45)がソーシャルワーカーに近況を報告していた。
男性は「ジェイ」と名乗った。一昨年9月、郡内の石炭採掘会社を解雇された。新たな職を探したが、すでに斜陽だった炭鉱での経験を生かせる転職先はなかった。「このままではホームレスになる」。不安に駆られ、助けを求めたのがこのNGOだった。
ジェイさんは、生活保障を受けながら、短大に通った。「12月にデジタル工作機械課程が修了できそう。80キロ圏内にこの職種の募集が六つはあります」。少し顔をほころばせた。
郡の住民の95%は白人で、3人に1人が最低限の衣食住サービスが得られる「貧困ライン」の収入以下で暮らす。失業率9%は全米平均の倍以上だ。
2016年の大統領選では、トランプ氏はこの地で得票率85%の圧倒的支持を得た。今も人気に陰りは見られない。民主党員のジェイさんは、解雇されて2カ月後の大統領選でトランプ氏に投票した。「次もトランプ氏に投票する」。そう迷わずに語った。
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