2020年米大統領選に向け野党・民主党の候補者が顔を合わせたテレビ討論会で、トランプ大統領に「勝てる候補者」と見られてきたジョー・バイデン前副大統領(76)が大きくつまずく波乱が起きた。討論会後の世論調査では支持率が下落。候補者指名争いの本命が、いきなり正念場を迎えつつある。
討論会は6月26、27日にフロリダ州マイアミで開催。注目は2日目だった。
米政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、討論会前の6月6~25日に実施された八つの世論調査の平均値ではバイデン氏の支持率が32%で安定の首位だった。前回大統領選でヒラリー・クリントン氏と大接戦を演じ、社会主義的な政策で「バーニー旋風」を巻き起こしたバーニー・サンダース上院議員(77)が16・9%で2位につけた。
ある世論調査では、2人ともトランプ氏と一騎打ちした場合、10ポイント近い差で勝つという結果も。討論会では70代白人の「おじいちゃん」対決が焦点だった。
2人の戦術は対照的だ。バイデン氏は、白人労働者層が多い米中西部の「ラストベルト」(廃れた工業地帯)で支持をトランプ氏から奪い返すため、穏健で中道的な立場を強調する。
一方、「民主社会主義」を標榜(ひょうぼう)するサンダース氏は、前回の大統領選と同様、国民皆保険制度や大学無償化など革新的な政策を全面的に押し出す。民主党内の「穏健派VS.革新系」という路線対決こそが最大の見どころのはずだった。
しかし、討論会でバイデン氏のもろさが露呈した。
38歳のエリック・スウォルウェル下院議員が「たいまつを次世代に渡すときだ」と述べ、76歳のバイデン氏の年齢をやり玉に挙げた。バイデン氏は「私はまだたいまつを持っている」と応じたが、反論し切れていないとの印象を与えた。
さらに痛手だったのは、黒人女性のカマラ・ハリス上院議員からの追及だ。
1970年代に教育上の人種差…