2020年米大統領選の民主党指名候補争いで支持率トップのバイデン前副大統領(76)が11日、ニューヨークで外交政策について演説した。「トランプ大統領の気まぐれな政策や自国第一主義が米国の地位を損ねてきた」と批判し、国際協調を重視する姿勢を強調した。大統領に就任すれば、トランプ政権が離脱表明した地球温暖化対策のパリ協定や、イランとの核合意に復帰する考えも明らかにした。
バイデン氏は、温暖化や核拡散、国際テロ、大量移民、サイバー攻撃などの問題は米国だけでは解決できず、国際的な協力態勢が必要だと指摘。安全保障上の脅威に対処するには北大西洋条約機構(NATO)の役割や日本などアジアの同盟国との連携が重要だとも主張し、同盟軽視が指摘されるトランプ政権との違いを打ち出した。
バイデン氏は5月に「中国は競争相手ではない」と発言。トランプ氏らから中国に弱腰だと批判されていた。この日の演説では「中国にはタフでなければならない。中国が米国から技術や知的財産を盗み続けるならば、対抗勢力を築かねばならない」と述べた。
20人以上が名乗りを上げている民主党の指名争いで外交政策はまだ主要な論点にはなっていない。だが討論会ではほぼ全員がパリ協定やイラン核合意への復帰を主張。現政権との政策の違いが鮮明になっている。(ワシントン=沢村亙)