トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館で、サウジ人記者のジャマル・カショギ氏が殺害された疑惑を受けて、ドイツのメルケル首相は21日、ベルリンで会見し、「現状ではサウジへの武器輸出はありえない」と述べ、サウジへの武器輸出を当面凍結する考えを示した。メルケル氏はサウジ政府のさらなる説明が早急に求められると強調し、関与した人物の責任を追及するよう訴えた。
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メルケル氏の発言に先立ち、マース外相も20日、「(カショギ氏殺害疑惑の)捜査が継続され、本当に何が起きたのかがわからない以上、サウジへの武器輸出について肯定的な決定をする理由はない」と語り、サウジへの武器輸出を見直す考えを明らかにしていた。
スウェーデンのシンクタンク「ストックホルム国際平和研究所」によると、ドイツは米国、ロシア、フランスに次ぐ世界の武器輸出大国。サウジへの輸出については、「中東の紛争を拡散しかねない」として国内で批判が出ていた。(ベルリン=高野弦)