イラン・イラク戦争末期の１９８８年、イランの航空機が米海軍のイージス艦の誤射で撃墜され、乗員・乗客２９０人が死亡した事件から３１年となる３日、ホルムズ海峡で追悼式典が開かれた。同海峡では先月、米軍の無人偵察機がイランの精鋭部隊・革命防衛隊に撃墜されるなど緊張が高まっており、遺族からは緊張緩和を願う声も聞かれた。

約２００人の遺族らは３日午前、革命防衛隊の青い旗がはためく船で撃墜現場付近に向かった。式典で遺族らは海に花を投げ入れて犠牲者を悼んだ。

米国とイランの対立が激しさを増し、式典が行われた海上から約１６０キロ離れたオマーン湾近くで先月２０日、米軍の無人偵察機が撃ち落とされるなど、ホルムズ海峡の緊張が高まっている。

３１年前の事件で当時６３歳だった父を失った写真家のペサメディン・アンサリアさん（４２）は「偶発的なことが起きて戦争になっても、両国の利益にはならない。第二の撃墜事件を生まないためにも交渉で緊張緩和をめざして欲しい」と語った。（バンダルアッバス〈イラン南部〉＝杉崎慎弥）