イランに住むアフガニスタン人が翻弄(ほんろう)されている。彼らにとっては隣にある安全な出稼ぎ先だったのだが、シリアへの派兵に巻き込まれる例が相次ぎ、イラン通貨のレート下落にも悩まされている。(テヘラン=杉崎慎弥)
「シリアにあるシーア派の聖廟(せいびょう)の守護者にならないかと誘ってきた」
2015年夏から不法滞在するアフガン人のホセイン・レザイーさん(32)は振り返る。昨年5月、テヘランの建設現場でブロックを積んでいた時、30歳ぐらいのイラン人男性に声をかけられた。シリアで義勇兵として過激派組織「イスラム国」(IS)との戦闘に加わろうという勧誘。ダマスカス近郊にあるシーア派の聖廟をISから守るのが任務だという。
イランの革命防衛隊の訓練を1カ月受け、シリアでの戦闘に参加し、6カ月後にイランに帰国すれば1年の滞在許可を与えられる。しかも約3千万リアル(当時のレートで約480ドル)の月給をもらえる条件だった。
建設現場にある12平方メートルほどのプレハブで他のアフガン人6人と暮らし、当時の月給は約100ドル。だがカブール北部の街に残してきた妻(26)と長男(7)の顔が頭をよぎった。
シーア派はアフガニスタンでは…