サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ総領事館で死亡した事件で、トルコのエルドアン大統領は23日、首都アンカラの国会でこれまでの捜査結果を発表し、「事前に計画された殺人だった」と認定した。「偶発的な死だった」とするサウジ政府の見解とは異なるが、関与が取りざたされているサウジのムハンマド皇太子への言及はなかった。
不明記者、生きたまま切断か サウジ見解と異なる可能性
エルドアン氏は、カショギ氏の殺害には、サウジ政府がすでに拘束した18人のサウジ人が関与したとの見解を示した。18人には治安機関、情報機関のメンバーや、法医学者らが含まれるという。エルドアン氏は「カショギ氏は残虐な方法で殺害された」と語った。一方で、容疑者らに命令を下した人物やカショギ氏の遺体の行方は不明のままだとした。
カショギ氏は2日に総領事館に入った後に消息が途絶えた。サウジ側は当初、「カショギ氏は総領事館の外に出た」として事件への関与を否定した。しかし、20日に一転して、「総領事館内でけんかの末に死亡させた」と認めた。サウジは18人のサウジ人を拘束し、情報機関の副長官ら5人を解任したが、ドイツなど欧州諸国からは説明の不十分さを批判する声が上がっていた。(イスタンブール=其山史晃)