潮の満ち引きを起こす力が、動植物の生育や行動にどう影響するか――。そんな研究にトヨタ紡織と名古屋大が共同で乗り出した。潮の満ち引きと生物の活動との関係をめぐる本格研究は例がない。効率的な食料生産や健康増進につなげる狙いだ。
この力は「起潮力」という。月や太陽が地球に及ぼす引力や地球の遠心力から生じ、海面の高さや重力、気圧の変化をもたらす。トヨタ紡織は、自動車のドア部品に使う植物ケナフの研究を進めるなかで、ケナフの草丈の伸び率などが起潮力の変化と関係していることを突き止めた。起潮力の指標となる重力の変化にあわせて、照明をつけたり消したりしてレタスを育てたところ、生育が良かった。
同社は、動植物の体内時計の研究で知られる名古屋大トランスフォーマティブ生命分子研究所と、共同研究を進める。17日の会見で、研究所の伊丹健一郎拠点長は「様々な研究を起潮力というめがねでみれば、大発見が隠れているのではないかと思う」と述べた。