フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)は23日、加熱式たばこ「アイコス」の新しいモデルを11月15日に売り出すと発表した。紙巻きたばこを吸う人が減るなか、加熱式はメーカーの頼みの綱。アイコスはシェア首位だが勢いは弱まっており、新モデルでてこ入れする。
新モデルは二つ。従来品は、専用たばこを1本吸うごとに4分超の充電が必要だったが、消費税込み1万980円の「アイコス3」では、これを3分30秒に縮めた。
税込み8980円の「アイコス3 マルチ」は、専用たばこを挿入する加熱部分とバッテリーを一体化。その分、吸うときも比較的大きな本体を持つ必要があるが、充電なしで10本まで連続で吸える。「続けて吸いたい」という要望に応えた。
吸い応えを左右する加熱温度は、いずれも従来モデルと同じという。
加熱式の利用者は、喫煙者の2割ほどを占める。2016年に日本で全国販売を始めたアイコスは、この市場で一気にシェアを拡大。だが最近は陰りが見られ、今年の売り上げはPMの想定を下回る。
さらに、加熱式で出遅れていた日本たばこ産業(JT)が、年末にもアイコスと同じ高温で加熱する新製品を投入する予定。競争が激しくなりそうだ。
23日に都内で会見したPMのアンドレ・カランザポラス最高経営責任者(CEO)は「勝つのは常に最良の商品だ。新しいアイコスで、新しい利用者を獲得していきたい」と述べた。