油圧機器大手「KYB」と子会社「カヤバシステムマシナリー」による免震・制振用オイルダンパーの検査データ改ざん問題で、KYBは26日、国土交通省の基準や顧客の性能基準に合わない装置が使われた疑いのある物件約1千件のうち庁舎や病院などの公共施設18件を公表した。所有者の了解が得られた物件で、19日に発表された70件と合わせても全体の1割にも満たない。
18件のうち、国交省の基準に合わない物件が3件、顧客の求める基準にそぐわない物件が4件、改ざんの有無が分からない物件が11件だった。国交省の基準に合わない装置が使われたのは、さいたま市複合公益施設サウスピア(さいたま市)、南部町国民健康保険西伯病院(鳥取県南部町)、愛媛県立中央病院(松山市)だった。
改ざんの疑いがある免震・制振装置は建築基準法による耐震性をクリアした建物に備えられるもので、国土交通省は震度7程度の地震でも倒壊の恐れはないとしている。ただ、揺れが大きくなり、家具やオフィス機器が倒れる可能性などがある。
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KYBが26日に公表した物件名は次の通り。(施設の表記はKYBの発表に基づく)
●国の基準に合わない「不適合」
さいたま市複合公益施設サウスピア(さいたま市)▽南部町国民健康保険 西伯病院(鳥取県南部町)▽愛媛県立中央病院(松山市)
●顧客と契約した性能基準に合わない「基準外」
さいたま市大宮区役所新庁舎(さいたま市)▽社会医療法人財団石心会 川崎幸病院(川崎市)▽長岡市消防本部庁舎(新潟県長岡市)▽みよし市役所本庁舎(愛知県みよし市)
●改ざんの有無が不明
佐野市新庁舎(栃木県佐野市)▽横浜市衛生研究所(横浜市)▽射水市庁舎(富山県射水市)▽石川県立中央病院(金沢市)▽岐南町庁舎(岐阜県岐南町)▽清須市役所北館(愛知県清須市)▽国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)▽愛知県警察本部新庁舎(名古屋市)▽三原市新庁舎(広島県三原市)▽市立八幡浜総合病院本館(愛媛県八幡浜市)▽南国警察署庁舎(高知県南国市)