朝日新聞夕刊の企画「オトナの保健室」が今月、集英社から刊行され、記念のイベントが27日、朝日新聞東京本社で開かれた。エッセイストの酒井順子さんと作家の村山由佳さんのトークに約80人の女性読者が聴き入った。
「オトナの保健室」は、読者の投稿や識者のインタビューを交えながら、セックスレスなど性を巡る視点を通し、女性の立場やパートナーとの関係を考える企画。「性について女性が新聞で語るのは画期的。ワクワクしながら読んでいた」と酒井さん。村山さんは「耳や目と同じ体の一部なのに、性器について小説で書けるようになったのもここ数年。少しずつでも変わってきた」と語った。
トークは読者から寄せられた質問に答える形で進んだ。セックスレスの悩みに対して、2人は「一番恥ずかしいことやつらいことに鉱脈がある。書くこと、話すことでモヤモヤやドロドロを浄化してみては」と助言した。
「48歳独身、彼氏なし」の女性から「セックスなしは美容に悪いのでしょうか」という質問が寄せられた。酒井さんは「メディアの情報に惑わされないで。性のあり方も多様化している。焦らず、『周囲にどう見られるか』から自由になってください」。村山さんは「これから人生を設計できる自由を楽しんで」と話した。
されて嫌なこと、相手にしてほしいことを女性が伝えにくい風潮がこれまであった、と2人は口をそろえた。
村山さんは「言葉で伝える以外に私たちに武器はない。ためこまず、友人らと共有し、しんどいことを外に出してみては」と勧めた。酒井さんは「熱があっても『寝ていたい』と言えず、夫のご飯をつくる時代が100年続いた。家庭、職場、セックスでも状況は同じだった。遅まきながら、#MeTooがやってきた。そろそろ、少しずつでも自分たちの欲求を伝える努力をしてみましょう」とエールを送った。