密航者の身分証を地図上にばらまき、欧州行きのルートを説明する請負業者(写真の一部を加工しています)=9月19日、ニジェールのアガデス郊外、石原孝撮影
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アフリカから欧州行きを目指す人たちが集まる西部の内陸国ニジェール。サハラ砂漠に囲まれた人口約12万のオアシス都市アガデス郊外に、密航を請け負う業者が隠れ家にする民家があった。マム・ウェリア(22)と名乗る男は、没収した数十枚の身分証を床に並べ、一部を指して淡々と話し始めた。「この男は地中海でおぼれ死んだ」「こっちはドイツに住んでいる」
記者は密航希望者らへの取材を通じて男と接触。隠れ家の詳しい場所は明かさない条件で、取材した。
男は他の業者仲間と協力し、毎月約100人の密航を手配する。主な希望者はナイジェリア(年間の1人当たりの国民総所得・約2千ドル=約22万円)やギニア(同約800ドル=約8万9千円)など、貧困層が多い国の若者だ。多くは豊かさや仕事を求めて向かうという。
男は「身分証の没収は、途中で…