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映画は誇張…「ホテル・ルワンダ」元従業員が見た現実

25年前の4月。アフリカのルワンダで絶望的な虐殺が始まった。隣り合って暮らしてきた人々が、民族の違いや権力争いから、ナタを振り回した。主に多数派民族フツの政府軍兵士らが、少数派民族ツチの人々を殺害。100日間で犠牲者は80万人を超えた。


経済成長8%、ルワンダの奇跡 大虐殺から25年


ツチの人々が逃げ込んだホテルが首都キガリにある。国連の平和維持部隊の関係者が宿泊していたミルコリンホテルだ。当時従業員だったゾゾ・ビズムレミさん(65)が今月10日、ホテルを訪れた。犠牲になった仲間の名が刻まれた記念碑の前で、その死を悼んだ。


113室ほどのホテルには多い時で1200人が避難。廊下や食堂、プールサイドで息を潜めた。食事は援助団体の配給に頼った。2004年制作の映画「ホテル・ルワンダ」のモデルになり、ビズムレミさんに似た従業員も登場する。


フツ出身のホテル支配人らがほぼ無償で避難者を泊め、命を救った英雄のように描かれた。だが、接客を任されていたビズムレミさんは「あれは事実ではない」と言う。多くは1泊数十ドルの宿泊費を払う必要があり、避難に使った自家用車を売って支払いに充てる人もいた。「映画は誇張が過ぎる。お薦めはできない」


ツチ出身のビズムレミさんは接客に追われ、受付カウンターを寝床にした。自宅に残した家族が気がかりだったが、「外に出るのは危険すぎる」と止められた。間もなく、妻子が殺されたと知人から聞いた。子供は4歳と2歳。車で30分もかからない自宅に戻り、遺体と対面したのは、それから1カ月後。「人生で最もつらい時だった」


気を紛らわそうと、仕事にのめり込んだ。笑顔を絶やさず、様々な国の言葉を学んだ。日本からの旅行者には「どうもどうも。ありがとう」と深くお辞儀をして和ませた。


母国は治安が安定し、豊かになった。自身は40年近く勤めたホテルを15年に退職。ツアー会社を経営し、再婚相手との間に6人の子も生まれた。「多くの人が殺され、水も電気もなかったような国が、今では高層ビルが立ち並んでいる。25年後も今と同じように平和で争いのない国であってほしい」と願う。


ホテルの記念碑には、こんな言葉も刻まれている。「NEVER AGAIN(二度と繰り返さない)」(石原孝)


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