外国人労働者の受け入れ拡大をめぐる国会論戦が本格化している。日本より一足早く、単純労働を担う外国人の受け入れを始めた韓国の現状を報告する。
ソウル近郊の金浦市。土木建築資材の製造・加工会社「サムジンスチール」(従業員60人)の工場では、20メートル近い長さの鋼管を数人で束ね、土木建築用の資材をつくる作業が続いていた。束ねた鋼管の重さは数十キロから100キロ以上にもなる。作業を担うのは中国やベトナムなどからきた外国人労働者12人だ。
ウズベキスタン人のオタベック・ドリモフさん(26)は2014年からこの工場で働く、食事付きで、寮費を差し引いても、手取り収入は月250万ウォン(25万円)。残業が多い時には月300万ウォンになる。母国の平均的な給与水準のほぼ5倍だ。「韓流の音楽や映画もあって、韓国は出稼ぎ先の国では一番人気。待遇もいいから一生、働き続けたい」と満足そうだ。
待遇が悪いとうわさに
給与や賞与、福利厚生の水準は韓国人も外国人も同じ。同社のキム・テファン経営支援部長は「待遇が悪いとSNSでうわさになる。魅力のない会社は捨てられてしまう」と話す。
こうした単純労働者の受け入れを可能にしたのが、韓国が04年に導入した「雇用許可制」(EPS)だ。
この制度では、まず韓国政府が…