中米から米国への移住を目指す数千人規模の「移民キャラバン」への対応策としてトランプ米大統領がメキシコとの国境に大規模な米軍派遣を命じたことに、軍や国防総省の元高官から批判の声が上がっている。トランプ氏は武力行使をもちらつかせるが、「無駄な派遣」(デンプシー前統合参謀本部議長)などとの指摘が出ている。
オバマ政権下で米軍制服組トップだったデンプシー氏は1日、「過剰な規模の兵士や海兵隊員が無駄に派遣され、直面する脅威のレベルとは釣り合いの取れない武力を使えば、状況はもっと悪化するだろう」とツイートした。
ヘーゲル元国防長官も1日、米CNNのインタビューで、今回の米軍派遣を「バカげている」と一蹴。「最先端の訓練を受けている米軍が、必要もない、脅威もない国境に送られるなんて、まるでジョークだ」と語気を強めた。
メキシコとの国境への米軍派遣をめぐっては、国境管理を担う国土安全保障省から協力要請を受けた国防総省が10月29日、メキシコとの国境に米軍5200人以上を派遣する方針を発表。さらにトランプ氏は同31日、1万~1万5千人規模の軍隊を派遣する意向を示し、「移民はとても重要な課題だ」と強調した。
トランプ氏は1日、記者団に対し、国境に派遣された米軍に投石すれば「我が軍は応戦するだろう」と警告し、銃器の使用を示唆した。だが、子どもを含む移民たちに銃器を使うことへの批判が広がったことを受け、2日は記者団に対し「私は『発砲する』とは言っていない」と発言をトーンダウン。ただし、移民たちが投石した場合は「彼らは逮捕され、長期間にわたって拘束されるだろう」と語った。
とはいえ、現実には米軍は米国…