中米ホンジュラスを出発して米国境に近づいている「移民キャラバン」に対応するため、米トランプ政権が決めた米軍の派遣に関連して、米国防総省は7日、当初名付けていた作戦名「忠実な愛国者」を今後は使わないことを明らかにした。同日、国防総省の担当者は朝日新聞の取材に対し、「我々は単なる『国境警備の支援』と呼んでいる」と答えた。
トランプ氏は「犯罪者」と批判 移民キャラバンと歩いた
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7日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、国防長官室が中間選挙当日の6日に名称変更を決めたという。国防総省は名称変更の理由を明らかにしていない。ただし、国防総省は米軍派遣の方針は変えておらず、8千人近くの部隊をテキサス州などメキシコとの国境地帯に派遣する方針だ。
「移民キャラバン」をめぐる米軍派遣は米国内で大きな論議になっている。
トランプ大統領は中間選挙の期間中、移民たちの入国を「我が国に対する侵略だ」などとあおり、米軍による武力行使も示唆。移民問題に対する政権の強硬姿勢をアピールして支持拡大に努めた。これに対し、野党民主党のみならず、軍や国防総省の元高官からも「無駄な派遣」(デンプシー前統合参謀本部議長)、「まるでジョークだ」(ヘーゲル元国防長官)などと厳しい批判の声が上がっていた。
今回の作戦名の使用中止は、マティス米国防長官がこうした世論の動向を考慮した可能性がある。(ワシントン=園田耕司)