北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会の李種革(リジョンヒョク)副委員長らが14日、韓国を訪問した。17日まで滞在し、ソウル近郊の京畿道高陽(キョンギドコヤン)市で開かれる同道主催のシンポジウムに参加する。招待した京畿道庁によれば、訪問予定だった朝鮮労働党統一戦線部の金聖恵(キムソンヘ)統一戦略室長は14日午後、突然訪問を取りやめた。
「韓国が賠償肩代わりを」徴用工問題、韓国元外相が提言
賠償命令「パンドラの箱開けた」 元徴用工訴訟、識者は
シンポジウムでは徴用工問題も取り上げられる予定だ。南北関係筋の1人は訪韓の目的について、「南北協力を強調し、米国や日本を牽制(けんせい)したいようだ」と語った。李氏らは産業施設の視察や自治体関係者との面会を予定しているが、韓国政府関係者とは会談しない見通しだ。
金聖恵氏は米朝協議を担当する金英哲(キムヨンチョル)党副委員長の部下。7月に北村滋内閣情報官と接触し、日本政府の方針を金英哲氏らに報告するなど、日朝秘密接触の窓口も務めているとされる。李種革氏は14日夜、記者団に対し、金聖恵氏の訪問中止について「個人的な事情で来られなくなった」とだけ説明した。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の年内訪韓については「(南北)両首脳が決める問題だ」と述べた。(ソウル=牧野愛博)