待機児童対策の切り札として国が導入した企業主導型保育所で、入所率が半数以下だったり、実態を把握していなかったりするところが相次いでいる。朝日新聞が今月、20政令指定市と東京都23区に聞き取り調査をした。企業主導型は保育士の一斉退職や助成金受給企業の倒産などのトラブルも表面化しており、制度のひずみを指摘する声が上がっている。
従来の認可保育所や、自治体が独自の基準で認めた施設に加え、国は2016年に企業主導型保育所を導入。企業主導型は認可外だが一定の基準を満たせば認可並みの助成金が支給され、自治体は入所している子を待機児童から除外できる。
企業が自社の従業員向けに設置したり、保育事業者が複数の企業と契約したりできるほか、「地域枠」を設ければ外部の人間も利用できる。17年度は全国2597施設(定員5万9703人分)が助成を受けた。
今年度の予算は約1700億円。事業の運営は内閣府から公益財団法人「児童育成協会」に委託されている。待機児童の解消には自治体との連携が必要だが、同協会は朝日新聞の取材に、要望のあった自治体に一部の入所者の名前などを提供しているものの、数の集計はしていない、と説明した。
朝日新聞社は11月、20指定…