18日投開票された福岡市長選で、国家戦略特区など安倍政権の経済政策を生かしたまちづくりを進める高島宗一郎氏(44)が、3選を果たした。公約として掲げた都心部での再開発などを推進することになる。
福岡市長選、現職の高島宗一郎氏が当選
「クルーズ船の寄港数が横浜を抜いて全国で1位」
「新しいビジネスを生んでいく開業率も全国1位」
高島氏は選挙戦で、経済の好調さを示す数字を挙げながら支援を呼びかけた。
選挙の応援に入った麻生太郎副総理はバンザイの後のあいさつで、「(福岡市を)アジアのリーダー都市に(という目標が)少し現実に近づいてきた」と高島氏を持ち上げた。安倍晋三首相からも高島氏に対し、当選を祝う電話があったという。
高島氏は公約に、特区を使った創業支援や都心部再開発の継続に加え、JR博多駅と博多港を結ぶロープウェーの導入も明記。特にロープウェーについて対立候補から批判を受けており、同日夜、記者団に「当選したからといって乱暴なことはしない」と慎重に議論を進める考えを示した。
前回は自民、公明両党から推薦を受けたが、今回は自身からの推薦要請は見送った。終盤で自民党の「支持」を得たが、自公の市議から個別に支援を受ける「勝手連」方式は変えず、選挙戦も候補本人の遊説を主体にした。自民党市議団と緊張関係にある高島氏としては、政党に頼らない態勢で3選し、市政運営での主導権を確実なものにする狙いがあったと見られる。(福井悠介)
高島氏への注文は
投票を終えた有権者からは注文が相次いだ。
3回続けて高島氏に投票したという南区の設備会社長(46)は「都心の再開発で雇用を生み、観光客も呼び込む方向性には賛成」と評価。一方で、市南部は開発が進んでいないとも感じている。「もっと住宅地にも目を向けて、バランスのとれた開発を期待する」
同区の主婦(70)は「(JR博多駅と博多港を結ぶ)ロープウェーは生活に関係ない。路線バスの維持に力を」と悩みつつも高島氏に入れた。「いつだって別の人に乗り換える、という気持ちで入れた。結果に有頂天になってもらったら困る」と話した。
開発が進む西区の九大学研都市エリアに住む男性会社員(37)は、高島氏の開発姿勢は税収増に必要だと共感しながらも神谷氏に一票を投じた。6歳と2歳の子がいるが、通学路の安全確保などに不満がある。「目立つ事業だけではなく、足元の市民を見てほしい」と指摘した。
中央区の会社員男性(61)は高島氏に投票したが、「積極的に入れたわけではない」と語った。福祉に力を入れるという神谷氏の主張は理解できるが、財源が限られる中で現実的ではないと思う。市長選では野党共闘は実現せず、共産党が独自候補を擁立する形となった。「強いころの旧民主党みたいな候補が出てくればねえ」(柏樹利弘、吉田拓史)