パイロットの乗務前の飲酒問題を受け、呼気検査の義務づけやアルコール基準を新設するための有識者検討会が20日、国土交通省で始まった。国交省によると、米国や英国ではアルコール基準があるが、ドイツではなく、チェックの義務はまちまちだという。同省はこれらを参考に、基準案などを年内に示す方針だ。
検討会は、元パイロットや航空医学の専門家らで構成。国交省が示した英米独3カ国の飲酒検査の基準によると、米国では航空会社に抜き打ちでの呼気検査を義務づけ、基準は呼気1リットルあたり0・19ミリグラム。英国は基準は0・09ミリグラムだが検査の規定はなく、ドイツには検査の規定もアルコール基準もないという。
日本では乗務前8時間以内の飲酒を禁じているが、呼気検査の実施は各社の判断に任されている。10月末には、現地基準を超えるアルコールが検出されたとして英国警察当局に日本航空の副操縦士が逮捕されたが、国内では取り締まれない可能性があり、問題視されていた。
20日の会合で蝦名邦晴航空局長は冒頭、「事案の重大性に鑑み、緊急にまとめたいと思っている」と話し、その後は非公開で行われた。(贄川俊)