北海道南部の知内(しりうち)町の建設工事現場で働いていた中国人46人が失踪したことが、元請け会社への取材で分かった。道警は同じ現場で働いていた中国人10人を11月下旬に不法残留や旅券不携帯の出入国管理法違反容疑で逮捕しており、46人は不法残留中に逃亡した可能性がある、とみて調べている。
道警は11月26日、知内町のメガソーラー建設工事現場で働いていた中国人の男10人を現行犯逮捕。工事関係者が住居を訪ねると、共同生活をしていた46人もいなくなっていたという。
元請け会社「東芝プラントシステム」によると、いずれも下請け業者(千葉県)が雇用しており、元請け会社に提出された「在留カード」の写しには、「永住者」や「定住者」と在留資格が記され、就労制限の有無の欄も「就労制限なし」と記載されていた、という。元請け会社の担当者は朝日新聞の取材に対し、「身分や資格をチェックした際には、特段問題があるようには思えなかった」と話した。
だが、道警の調べでは、逮捕されたうち2人は8月に観光クルーズ船で長崎港に入港。1日限りの船舶観光上陸許可をもらって下船し、そのまま戻らなかった。残る8人は6月から10月にかけて、最長15日間の短期滞在ビザで成田空港などから入国。いずれも「観光目的で来日した」などと供述しているという。
道警は、在留カードが何者かによって偽造され、不法就労が組織的に行われていた疑いもあるとみて捜査している。(阿部浩明)