日本政府と三菱重工業が、トルコの原発建設計画を断念する方向でトルコ政府と調整に入った。原発の安全対策費がかさみ、事業費が当初の想定の2倍超にふくらむ見込みとなり、トルコ側との交渉が進まなくなっていた。安倍政権が成長戦略に掲げ、官民一体で進めてきた「原発輸出」はまた頓挫する見通しとなった。
断念・頓挫…行き詰まる原発輸出政策 トルコは「失望」
安倍晋三首相とトルコのエルドアン大統領は今月1日、アルゼンチンでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議で会談した。政府関係者によると、その席で両氏は原発計画についても協議。断念の可能性も含めて意見を交換したといい、計画の実施が困難な状況にあることを確認しあったとみられる。
日本政府は、トルコとのエネルギー分野での協力は維持したい考えで、来年1月中旬にも世耕弘成経済産業相をトルコに派遣し、代替策として二酸化炭素(CO2)排出量を抑える最新鋭の石炭火力発電所計画などを提案する方向だ。
原発計画は2013年、安倍首相とエルドアン首相(当時)の首脳会談を機に実現へと動き出した。トルコ黒海沿岸のシノップ地区に三菱重工と仏企業が共同開発した新型炉を建設し、23年の稼働をめざした。
当初、事業費は4基で2・1兆…