農林水産省が設立した官民ファンド、農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)が行きづまっている。農林漁業者が生産(1次産業)から加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)までを一体的に手がける「6次産業化」を進め、所得増大を図る取り組みを資金面で支援しようと5年前に設立されたが、会計検査院は今春「運営を見直す必要がある」と指摘。農水省も「現状での継続は難しい」と2019年度の予算を要求しなかった。
農水省は13年、財政投融資資金など319億円を元手にA―FIVEを設立したが、設立以来6期連続の赤字で、累積損失は63億円にのぼる。5年間で出資に使われたのは80億円余にとどまる。出資先の倒産や撤退、業績の不振により、47件11億円を減損処理した。地銀などと組んで50を超すサブファンドを傘下に作ったが、うち四つは具体的な出資のめどが立たないとしてすでに解散。A―FIVEは「補助金や融資で間に合うところが多く、出資がそぐわない」(総務部長)と資金ニーズが少ないことを認める。そもそも、出資して回収するファンド形態をとったことに無理があった。
一方、賃料や人件費などの経費に累計40億円余を費やした。「経費ばかりかかっている」と省内からも批判され、家賃の高い東京・大手町から9月に麴町に移転。社員も削減してきた。
第1号出資案件の一つ、オチガ…