官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)の高額報酬問題で、経済産業省の嶋田隆事務次官らが先月24日、JICの田中正明社長(元三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長)に提案した報酬案が明らかになった。年間1億円を超すことも認める9月の当初案から大幅に減額。経営陣の個別の報酬額を開示し、報酬の決め方に国が関与することも求めた。これに田中氏が立腹し、所管官庁との前代未聞の対立につながった。
経産省の糟谷敏秀官房長が9月に田中氏に示した当初の報酬案は、固定報酬、短期・長期の業績連動報酬をあわせれば最大で約1億2500万円を支給できるとの内容で、JICの報酬委員会の判断次第では「上限を超過できる」との注意書きもあった。
嶋田氏ら経産省幹部は11月24日の田中氏との会談で、「国のお金の運用で青天井の報酬を受け取ることになりかねない。こんな規定はおかしい」と見直しを申し入れた。報酬総額をJICの前身である産業革新機構の報酬(代表取締役で最大約9千万円)以下に見直すよう打診。個別の役員の報酬額を毎年開示することや、JICの報酬委員会が報酬を決める案を見直し、報酬の決定過程に国が関与できるようにすることも求めた。
JICは、傘下に複数の認可ファンド(子ファンド)を設け、子ファンドからファンドマネジャーに億円単位の報酬を支払うことも検討してきた。経産省はこの点についても、「どんな人物にいくら払われるかわからない。透明性に欠ける」と疑問視した。
経産省の関係者によると、こう…