島根、鳥取の両県を地盤とする地方銀行の山陰合同銀行(松江市)が、大阪や兵庫への出店を強化している。石丸文男頭取は6日、営業を始めた神戸市の新しい支店で「将来的には関西での貸し出しを倍増させる」と意気込みを語った。
新支店は「神戸西支店」で、兵庫県内10店舗目。ビルの上階に入る「空中店舗」で、行員は8人。法人中心で営業にまわる。
同行にとって、支店の新設は5年ぶりだ。その5年前も兵庫県内への出店だった。山陰地方は人口減と少子高齢化が深刻で、地元にとどまっていては成長が難しい。そこで関西への出店に力を入れている。
同行は大阪市にも一つの支店があり、大阪・兵庫での9月末の貸し出しは計約5千億円。同行全体の2割弱を占めるまでになった。この貸し出しを将来的に1兆円に伸ばす考え。石丸頭取は「市場が縮んでいる山陰ではものを作ったり売ったりすることに限界がある。関西と山陰をつなぐことで、山陰の企業にもメリットがある」と語った。
マイナス金利政策など日本銀行の大規模な金融緩和によって、地方銀行の経営は厳しさを増している。同行は2020年度までの3年間の中期計画で「兵庫・大阪への進出加速による地域の架け橋としての機能強化」を掲げている。(中島嘉克)