カーナビ大手パイオニアは7日、香港ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの完全子会社になると発表した。当初は資本提携で再建をめざす方針だったが、想定以上の経営悪化を受け、傘下に入ってリストラで立て直しを図る。
来年3月にも完全子会社になり、東証1部の上場は廃止となる予定。ベアリングは520億円分の増資を引き受けるほか、貸出金250億円も出資に転換する。さらに約250億円をかけ、ベアリング以外の株主から1株あたり66・1円で全株式を購入する。ベアリングが投じる支援額は計約1020億円にのぼる。
パイオニアは来年1月に臨時株主総会を開いて承認を得る方針。森谷浩一社長は留任するが、責任をとり実質無報酬とする。取締役は森谷氏と社外出身者を除いて退任し、ベアリングから2人を新たに迎える。
来春から2年間かけ、国内外の従業員約2万人(非正規含む)の15%にあたる約3千人を削減する。生産や販売、開発などの拠点の統廃合も行う。人員削減の具体策や統廃合拠点の詳細は明らかにしていない。会見した森谷社長は、「(上場廃止で)株主には申し訳なく思っている。意思決定を速めて改革を進める。改革をやりきるのが私のミッションだ」と述べた。地図情報データの活用で収益力を高められるとも説明した。
パイオニアは11月、2018年9月中間決算の純損益が99億円の赤字だったと発表。あわせて、出資の受け入れをめぐるベアリングとの交渉が長引いているとして、予定していた最終合意の公表を延期していた。(高橋諒子、内藤尚志)