2020年4月から始まる受動喫煙対策をめぐり、厚生労働省の専門委員会は11日、階数が複数ある店舗では、2階以上のフロア全体を「喫煙室」とみなすことを認める方針を決めた。喫煙室の考え方を広げ、フロア全体でたばこを吸うことができ、加熱式たばこに限れば飲食などもできるようになる。密閉された喫煙室をつくる必要がなく、店舗や施設は選択肢が増える。同省は年度内に省令を改正する。 7月に成立した改正健康増進法は、多くの人が使う施設や飲食店は原則屋内禁煙とし、喫煙室以外では基本的に喫煙できなくなる。客席面積100平方メートル以下などの小規模飲食店は例外的に経過措置で喫煙を認める。 喫煙室からの煙の流出を防ぐ基準を議論してきた同委員会はこの日、「フロア分煙」を容認。煙は基本的に上に向かうため、禁煙のフロアより上の階で喫煙すれば、下の階に煙が流れず、望まない受動喫煙は防げると判断した。委員から特に異論は出なかった。吹き抜けがあるなど受動喫煙を防げない構造では認めない方針だ。 厚労省が想定するフロア分煙の主な対象は加熱式たばこだ。紙巻きたばこを吸える喫煙室では飲食やパチンコができないが、加熱式たばこ専用なら可能なため。ただ、喫煙フロアにはいずれも20歳未満の客や従業員の立ち入りは禁じられる。どのくらいの施設や店で広がるかは不透明だ。 また、同委員会は加熱式たばこ向け喫煙室の基準を紙巻きたばこの喫煙専用室と同じにする方針を確認した。飲食業界などへのヒアリングでは、「加熱式たばこは煙が少ないので、喫煙専用室よりも緩和すべきだ」などの意見もあったが、基準を緩めると、煙の流出を防げないと判断した。(黒田壮吉) |
厚労省「フロア全体が喫煙室」容認へ 分煙の選択肢増す
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