低空飛行が続いていた日本の伝統話芸・講談に新風を吹き込んだ男がいる。35歳の二つ目、神田松之丞。独演会のチケットは即完売状態で、客席にはこれまで縁遠かった若者の姿も。「今の講談は、足りないものが多い」「内部の風潮に腹が立っていた」――。歯に衣(きぬ)着せぬ物言いの奥には、講談界を盛り上げたいという熱意がにじむ。若き講談師はなぜ旗振りを担い、成功に至ったのか。講談といかにして出会い、未来に何を思うのか。本人が語った。
二つ目の講談師なのに完売続出 空間制圧、まるで清志郎
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初めての講談は「鍵のかかったSNS」
――講談界の旗振り役を担おうと思った理由は。
純粋に講談が好きで、高校卒業…