昨年11月にあった米中間選挙後初となる連邦議会が3日招集され、上院で与党・共和党が、下院で野党・民主党がそれぞれ過半数を握る「ねじれ議会」が始まった。下院議長に民主党のナンシー・ペロシ氏(78)が選ばれた。トランプ大統領が進めるメキシコ国境の壁建設をめぐり、初日から激しく与野党がぶつかり合った。
議長に選出されたペロシ氏は議会で演説し、「米国民は憲法の美点を求めている。それは、我々の民主主義を守る議会の『チェック・アンド・バランス』の機能だ」と訴えた。ペロシ氏は2007~11年に米史上初の女性下院議長を務めており、8年ぶりに返り咲いた。
トランプ氏は3日夕、ホワイトハウスで緊急記者会見を開き、「就任を祝福する。多くのことを一緒に成し遂げることが出来るだろう」と語った。
ただ、トランプ氏と民主党は、壁建設の予算をめぐり対立し、政府機関の一部が閉鎖したまま、約2週間が経とうとしている。
この日、民主党は下院で、国境の壁建設を管轄する国土安全保障省の予算案だけ切り離して1カ月かけて交渉を続ける一方、残りの予算を成立させてただちに政府機関を再開させる法案を可決した。共和党が過半数を占める上院で可決の見通しは立っていない。
対するトランプ氏は会見で、国境の警備や不法移民の取り締まりに携わる担当者を従え、「壁無しには、国境の安全は確保できない」と強調。壁建設で妥協しない姿勢を改めて打ち出した。
新議会の構成は、上院(定数100)は共和が53、民主(独立系を含む)が47。下院(定数435)はまだ1議席が確定しておらず、民主が235、共和が199となっている。(ワシントン=土佐茂生)