「被害者の適切な賠償がより迅速かつ円滑に行われるとともに、原子力損害の被害者の保護を着実に図ることができる」(柴山昌彦文部科学相 昨年12月4日、参院文教科学委員会で)
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原発賠償、抜本改正見送り 電力会社の責任現状のまま
東京電力福島第一原発の事故から8年近く。昨年の臨時国会では、原発事故の賠償制度を定める原子力損害賠償法が2011年の事故後初めて改正された。
改正で、被災者にすぐ賠償できるよう国が電力会社に融資する制度などができた。だが、当初検討された電力会社が支払う賠償に上限を設けて国の責任を明確にする案や、電力会社に保険などで準備させる額の引き上げは見送られた。抜本改正にはほど遠かった。
「非常に理不尽さを感じる毎日。福島の現状を見て国政に反映して頂きたい」。原賠法を審議した昨年11月の参院文教科学委員会で、参考人の佐々木茂さん(64)が訴えた。原発に近い福島県浪江町の山間部で餅や漬物などの加工販売を営んでいたが、今は40キロほど離れた同県二本松市で避難生活を送っている。
「福島の現状」が気になり、佐々木さんを訪ねた。
事故が起これば請求書が国民に回る。そんな仕組みが、いつのまにか追認されている。先例とされた福島の事情は複雑だ。
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