総務省の統計委員会は17日に急きょ会合を開き、厚生労働省の担当者に毎月勤労統計をめぐる問題の経緯をただした。ただ、厚労省側は「調査中」との回答に終始。大混乱を招いた当事者の情報公開に消極的な姿勢に、委員から批判の声が相次いだ。
過少給付総額567億円に 対象者2千万人 不適切統計
統計委は、政府の「基幹統計」の調査手法を審議し、「お墨付き」を与える役割だ。毎月勤労統計も対象だが、厚労省は全数調査がルールの大規模事業所について、2004年から東京都分の対象を3分の1ほどに勝手に絞っていた。
この理由について、委員らが「もともと全数調査ができていなかったからか」「人手が足りなかったのか」と質問。だが厚労省の大西康之政策統括官は「当時どういう議論があったのかは調査中」と繰り返した。
18年1月分からは全数調査に近づけるデータ補正の「復元」をしていた。「復元には準備期間も必要なはずで、組織で認識していたように思える」と指摘されたが、大西氏は「一部の職員は認識していたが組織全体では共有していなかった」と従来通りの回答だった。さらに「抽出自体がおかしいが、17年まで復元もしなかったのはなぜか」と問われると、「どう説明していいか私もわからない」。
複数の委員が憤ったのが、データ補正の結果、賃金がどれだけ上がったかを聞いた場面だ。18年8月の統計委でも議論されたが、厚労省側は補正の事実を伝えていなかった。「実額だけでもこの場で示すのが礼儀だ」「(補正の)計算が終わっていればただちにわかる話だ」と詰め寄ったが、大西氏は「(資料を)手元に用意していない」と最後まで示さなかった。
委員から「統計作成のプロセス…