政府とイスラム教徒の武装勢力との紛争が40年以上続いたフィリピン南部ミンダナオ島で、和平合意に基づき2022年に樹立される「イスラム自治政府」の参加自治体を決める住民投票の大勢が23日までに明らかになった。治安当局の情報によると、主要都市コタバトとマギンダナオなど5州で「賛成」が過半数となり、参加が決まった。
イスラム自治政府、キリスト教系に反発も 比ミンダナオ
自治政府は、国内最大の武装勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)とフィリピン政府による12年の和平合意の成果だ。だが、自治政府の首都になると期待されるコタバトは人口の5割超をキリスト教徒が占め、投票の結果が注目されていた。残るイサベラ市では集計作業が続いている。今後、選挙管理委員会が正式な結果を発表する。
ミンダナオ島のダバオ市長を務めたドゥテルテ大統領は、紛争の解決に向けた自治政府の重要性を強調。投票日前にコタバトを訪ねて市民に賛成票を投じるよう促し、「(賛成しなければ)もうここに来ない」と述べたと報じられていた。
住民投票は2月6日に北ラナオ州などの一部でも実施され、自治政府全体の範囲が決まる。自治政府の運営のため、フィリピン政府は毎年歳入の5%にあたる約650億ペソ(約1344億円)と、最初の10年は年間50億ペソ(約103億円)を交付する。ただ、地域には自治政府に反発する武装勢力もおり、治安が安定するかは不透明だ。(ハノイ=鈴木暁子)