いつかM―1王者に。たぎる野望とあふれる情熱を胸に、若者たちがしのぎを削るステージが大阪・難波千日前にある。「よしもと漫才劇場」。通称「マンゲキ」だ。
昨年の暮れ、ビル5階のマンゲキは熱気に包まれた。結成3年目の若手コンビ「たくろう」の単独ライブが開かれた。300ほどの席は若い女性たちで埋まり、立ち見も出ている。2人が登場すると、拍手とともに「かわいい」という声が漏れ聞こえた。
「眼鏡のパーマ」きむらバンド(28)と、「裸眼のショートボブ」赤木裕(ゆう)(27)が、1本のマイクを挟んで向き合う。赤木のボケにきむらが優しくツッコミを入れる。
書道教室のネタでは――。
きむら「大人の書道教室ってあるんですが」
赤木「オトナの? 書道教室……行く!」
きむら「なんかやらかしそうですね」
赤木「やらしくないよ」
きむら「では、書道で一番大切なことは?」
赤木「……体幹トレーニング」
きむら「ではないですね。心を落ち着かせることなんです」
赤木「心……躍る……アンコール」
微妙にかみ合わないやりとりに笑いがはじける。1時間ほどで6本のネタを次々繰り出した2人は、両手を振って観客の拍手に応えた。
張り切る理由がある。昨年の漫才日本一決定戦「M―1グランプリ」で準決勝まで進出。決勝に進む最後の1枠を争う敗者復活戦に臨んだものの、制限時間の3分30秒以内にネタを収めきれず、まさかのタイムオーバーで敗れ去った。オチを言えずにステージを去る姿がテレビに流れ、チャンスはするりと逃げた。
もう一組、劇場史上最速でメンバー入りした大型ルーキー「ポップマン」にも話を聞いた。知っておいて損はない!? 彼らは何者なのか。
「僕らにとって初の全国放送。…