滋賀県彦根市の県警河瀬駅前交番で昨年4月、井本光(あきら)巡査部長(当時41)=警部に2階級特進=を拳銃で撃って殺害したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われた部下の元巡査(20)=事件当時19歳、懲戒免職=の裁判員裁判の初公判が30日、大津地裁で始まった。元巡査は「間違いありません」と起訴内容を認め、弁護側は元巡査が心神耗弱状態だったと主張した。判決は2月8日。
起訴状によると、元巡査は昨年4月11日午後7時47分ごろ、交番内で井本さんの後頭部と背中を拳銃で2発撃って殺害。同日午後8時半ごろまでの間、実弾3発が入った拳銃を持ったまま逃走したとされる。
検察側は冒頭陳述で、元巡査が井本さんの指導に不満を募らせたことなどが殺害につながったと指摘するとみられる。弁護側が事実関係について争わず、心神耗弱状態だったと主張していることから、公判での主な争点は被告の責任能力の程度になる見通しだ。
元巡査は逃走後、彦根市の隣の滋賀県愛荘町で身柄確保され、殺人容疑で逮捕された。事件当時20歳未満だったため、大津家裁が昨年5月に少年審判を開き、「上司である被害者からの指導や扱いに不満や不遇感を募らせていた中、被害者に両親を侮辱されたと感じた」として検察官送致(逆送)を決定。大津地検が同6月に起訴していた。