マドゥロ大統領の独裁的な支配への反発が広がる南米ベネズエラで12日、マドゥロ政権の支持派と反政権派がそれぞれ首都カラカスなどで集会を開いた。反政権派が米国に要請した人道支援物資の搬入を政権は認めておらず、反政権派は集会で「23日を搬入日とする」と宣言。双方のせめぎ合いは今後、さらに激しさを増しそうだ。
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反政権派の集会は各地で開かれ、現地報道によると少なくとも10万人以上が参加した。12日はベネズエラの独立戦争で若者が戦ったことを顕彰する「青年の日」。参加者はマドゥロ政権の弾圧で亡くなった学生らを追悼し、政権交代の必要性を訴えた。
反政権派は、支持を受ける米国に食料や医薬品などの人道支援物資を求めた。物資はベネズエラとの国境にあるコロンビアの町ククタに到着し、ブラジルの国境地帯も今後、物資の搬入拠点となる予定だ。しかし政権は搬入を認めず、軍がコロンビア国境の道をコンテナで封鎖している。
暫定大統領を宣言した反政権派のグアイド国会議長は集会で「支援物資は必ず国に入る。権力を不正に奪った者は必ず大統領府から出ていく」と演説。医療関係者らに結集を呼びかけ、「23日に物資を搬入させる」と語った。
反政権派の集会に参加を訴えるビラの文句は「軍に呼びかける。人道支援物資の搬入を勝ち取ろう」だった。物資搬入をてこに、政権を支え続ける軍を切り崩す狙いがうかがわれる。兵士やその家族も食料不足に直面しているとされる。
政権派は集会で、この日が独立戦争にちなむ記念日のため、「人道支援を装った米国の侵略を許さない」と愛国心に訴えた。マドゥロ氏は演説で「我々は偉大な独立運動の指導者シモン・ボリバルの子孫だ。私たちが求めるのは平和だ。軍事侵攻は追い払おう」と語った。参加者らは「必要なのは支援物資ではなく、経済制裁の解除だ」などと記したプラカードを掲げた。
ベネズエラの会計検査当局は11日、グアイド氏が国内外から不正な資金を受け取ったとして捜査を始めたことを明らかにした。違法とされれば、グアイド氏は最長15年間、政治的権利が停止されるという。検察も「外国勢力の介入に加担した」などとしてグアイド氏の捜査を始め、裁判所は資産凍結や出国禁止を命じた。検察や裁判所は政権派だ。
マドゥロ政権は、これまでも野党政治家を勾留するなどして反政府活動を抑え込んできた。ただ、今回は米国や欧州などがグアイド氏を支持。政権の思惑通りにグアイド氏の動きを止められるかは微妙な情勢だ。
一方、軍の士官による離反表明が続いており、マドゥロ氏の苦境は深まっているとの見方もある。スペイン語メディアでは、マドゥロ氏がキューバやロシアへの亡命を検討しているとの報道が相次いでいる。米メディアの取材にホワイトハウス高官は「(マドゥロ氏や側近が)どのように、いつ国を去るか話し合う用意はできている」と語った。
米ウォールストリート・ジャー…