トランプ米大統領が進めるメキシコ国境での壁建設の費用に関し、米議会の与党・共和党と野党・民主党は13日夜、合意案を公表し、14日に投票することを明らかにした。上下両院で可決され、トランプ氏がこれを受け入れて署名すれば、15日に期限を迎える新たな政府機関の閉鎖の危機は回避されることになる。
超党派による合意案は1159ページにおよび、日付が14日に替わる前に出された。米メディアによると、「壁」ではなく、「遮蔽(しゃへい)物」や「フェンス」という言葉が使われ、約90キロの遮蔽物を作るために、13億7500万ドル(約1520億円)が計上された。
トランプ氏はこれまで壁の建設費として、約380キロ分の57億ドル(約6300億円)を求めており、大きく下回った。トランプ氏が昨年拒否した、上院案の16億ドルよりも低い額で、大幅な譲歩を迫られる。一方、昨年の中間選挙で勝利した民主党も、壁は認めないと訴えてきたが、一部を認めた形だ。このほか、国境を監視する機器や税関職員の増員、拘束された移民への人道的支援などの予算も計上され、与野党それぞれの主張が盛り込まれている。
壁の建設費をめぐっては、史上最長の35日間もの政府閉鎖を引き起こした後、15日を期限に、与野党が妥協案を模索していた。
トランプ氏は合意案が出る前の13日、記者団に「まだ受け取っていないが、『地雷』がないか、探さなければならない。真剣に検討する」と述べた。さらに「新たな政府閉鎖は見たくない」とも語り、合意案を受け入れて政府閉鎖を避ける可能性を示唆した。
米CNNによると、大統領から直接話を聞いた関係者2人の話として、トランプ氏は合意案に署名する考えだという。(ワシントン=土佐茂生)