「世界的な成長戦略の一環として、他の優先事項に注力する」
IOCと中国アリババ、蜜月に 「五輪にデジタル革命」
マクドナルドは2017年6月、わずかに役員声明を出しただけで、国際オリンピック委員会(IOC)の最高位スポンサー「TOP(トップ)」から撤退した。
契約期間を3年近く残すなかでの打ち切り。衝撃は大きかった。
20年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会のTOPサービス課長、鳥居圭(40)は振り返る。「マクドナルドは、世界中の選手が安心して口にできた。それが突然なくなってしまった」。すでに東京・晴海の選手村の店舗に設置する調理機器などについて、調整を進めていた。
マクドナルドは、1976年から五輪のスポンサーを務めてきた。96年アトランタ大会以降は選手村に店舗を設営。08年北京大会では、陸上男子のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が無料で提供されるチキンナゲットを約1千個平らげた、と話題になった。
「五輪はわれわれのブランド強化を促進させる存在だった」。90年代に米マクドナルドのCEO(最高経営責任者)を務めたエド・レンジ(74)は振り返る。ハンバーガーを食べるトップ選手の姿がテレビを通じて全世界に伝えられ、「一般の人に『マクドナルドはいい』と、好印象が広がっていった」。
開催都市に店舗が新設され、欧州やアジアで新たな市場開拓につながった。いまでは欧州の40カ国をはじめ、世界の100超の国・地域に3万店以上が広がった。
なぜ、マクドナルドは契約を打ち切ったのか。
一部の海外メディアは、同社に…