長野県塩尻市で建設会社を経営していた女性が昨年、90歳で亡くなった。「老人福祉に役立ててほしい」との遺言があり、約2億3千万円と土地・家屋が20日、市に寄付された。小口利幸市長は「大規模な寄付で正直、びっくりしている。故人の遺志に沿うようにしたい」と感謝した。
女性は藤牧喜美子さん。同市広丘野村で、主に公共工事を請け負っていた建設会社の社長を務めてきたが、2012年に会社を解散した。
遺産は、預貯金約2億3千万円と土地約3200平方メートル、家屋は自宅など5棟。遺言執行者を務めた税理士によると、土地・家屋の昨年の評価額は約1億1千万円という。また、藤牧さんは15年4月にも3億円を市に寄付していたという。
遺言執行者や関係者によると、「藤牧さんは子どもがおらず、晩年、自分の老後を気にしていた。不安なく入ることができる施設が出来たら」と望んでいた。
この日は、遺言執行者の税理士が小口市長に目録を手渡した。市では、預貯金については福祉基金に積み立てることにし、3月市議会の補正予算に計上を予定。土地・家屋は老人福祉への活用について検討するとしている。(佐藤靖)