沖縄の人々がのぞんだわけではないのに集中する米軍基地は、多くの負担をこの島に押しつけてきた。基地をめぐる政治的な対立は、いまも県民を二分する。この分断を乗り越えたいと、元山仁士郎さん(27)は大学院を休学して県民投票を実現させた。沖縄を訪ねた南野森・九州大教授(憲法学)が、元山さんと語り合った。
絶食3日目、若者が怒りのハンスト 沖縄県民投票めぐり
沖縄県民投票
本土との溝、基地問題の行方は…沖縄はいま
南野 東京の大学では何の勉強をしていましたか。
元山 入った頃はアジアの貧困に関心があったんですけど、自分の地元の問題に向き合いたいなって大学2、3年ぐらいから感じるようになり、卒論は日米地位協定について書きました。
南野 どうも本土の人間というのは沖縄のことにひとごと感がある。けれど実態は、一つの県を集中していじめている。日本に住む人間としてそれでいいのかという発信を、工夫して進めていかないといけない。
元山 そうですね。沖縄の基地問題っていうのは、法の下の平等だとか、幸福追求権とか生存権が脅かされているものだと考えています。他の都道府県に比べると、ある種、人権が侵害されているような状況に置かれている人が大勢いるんです。
南野 ハンガーストライキでは嫌がらせもありましたが、同時に、連帯する人々の温かさも感じたそうですね。
元山 最初は看板と水と本だけを持って始めた。イスやテントは知り合いに加えて全く知らない人も持ってきてくれた。それだけ共感してくれる人がいるんだなと実感しました。
南野 当初は県民投票への参加を拒んでいた、宜野湾市長だとかうるま市長だとか、その辺の人たちに影響を及ぼしたと考えていますか?
元山 うるま市の島袋(しまぶく…