統計問題の国会審議で中江元哉・元首相秘書官(現・財務省関税局長)の果たした役割が焦点となっている。首相秘書官は首相側近として幅広い影響力を持つようになった。中江氏が官邸の意向を示し厚生労働省を方針転換させたと主張する野党に対し、政権側は厚労省自体の判断と強調した。
野党は25日の衆院予算委員会で、毎月勤労統計の調査手法変更は中江氏の言動によるものだと追及した。
中江氏が2015年3月31日に姉崎猛・厚労省元統計情報部長らに調査手法変更を促す「問題意識」を伝えたことについて、立憲民主党の枝野幸男代表は「首相秘書官の意見は首相の意向が背景にあると受けとめるのが普通だ」と指摘した。これに対し、安倍晋三首相は「私の考え方を理解しながら問題意識を述べ、それぞれの見識でさまざまな意見を述べるのは当然だ」と反論した。
立憲会派の小川淳也氏が「統計制度の変更で本来職務権限がないはずの首相秘書官が暗躍している。重大な影響力を持っているのに関与を否定し、うそをつき、事実をないとするような答弁が多い。責任を負わないのに、影響力を行使して政策の変更に介入している」と批判すると、首相は色をなした。「首相秘書官は首相を支えるという、とても大切な責任がある。中江氏の人格を否定するようなことをずっと言っている」
中江氏から「問題意識」を伝え…